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トルコ~ボドルムの農場で見つけたバックパッカーパラダイス~

みなさんお久しぶりです。英語版のブログは更新していたのですが、日本語版の翻訳が遅れて申し訳ないです。がんばって追いつくようにしますね。

まずはクラウドファンディングのキャンペーンに協力してくださった方々にお礼を申し上げます。始めた時はこんなにも多くの方に寄付を頂けるとは思っていませんでした。おかげさまで開始して6日目で目標金額の90%を達成できたんですよ。本当に有難うございます。キャンペーンはまだ終わっていませんので、これからも「海外(の僻地)からお土産を受け取りたいよ」って方がいたら是非ご応募ください。待ってますよ。

https://www.indiegogo.com/projects/receive-world-souvenirs-from-good-girl-gone-nomad/x/11551153#/story

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ブログが大変遅れているので、6月5日から8月9日まで2ヶ月強滞在したトルコについて急ぎ足で振り返ってみようと思います。実はこの英語版の記事を更新した日はトルコ滞在最後の夜で、旅行中に出会った多くの人たちの顔や思い出をたくさん思い出してみては感傷的な気分になっているのでした。

イスタンブールに1泊したあと夜行バスで向かったのはトルコ屈指のリゾート地、地中海沿岸のボドルムから車で30分行った所にあるトゥルグトゥレイスという小さな町だった。ここではジェムというトルコ人の男性が経営するエコファームで2週間のWorkaway(ボランティアの代わりに寝床と食事を提供してもらう)をして働いた。ジェムは40代後半で以前は観光客向けのヨットのキャプテンをしていたが、今は引退して田舎で有機野菜と養鶏をしながら暮らしている。

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エコファームは環境に恵まれていて、農場の中では鶏が自由に走り回り、たわわになったオレンジが至るところに落ちていた。農場の中にはカフェとホステルが併設されていて、カフェは週末に有機野菜の朝ごはんを食べに来る地元民で、ホステルはお金のないバックパッカーでそれぞれ賑わっていた。私の農場での仕事は、大工仕事、掃除、給仕、農作業など日によって毎日変わった。

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私のボランティアの同僚はイギリス人の大学院生ジェイミーで、彼とは気があって仕事中もおしゃべりばかりして退屈しなかった。ジェイミーは本当にいつもしゃべってばかりいる明るいお調子者で、結構大変な仕事をしているときも彼のおかげでストレスが軽減された。ジェイミーの趣味は料理で、すごく凝ったシェフみたいな料理をいつもたくさん作っていた。新しいものを食べるのが大好きなので、昼はよく二人でレストランに行き地元の料理を堪能した。

夜は毎晩二人でお客さんと自分たち用の夕飯を作った。ホステルのお客さんとは全員で食卓を囲むのが慣わしなので、否応も無く毎晩10人から15人分の食事を用意するのが日課だった。最初は大人数の料理を用意するのに慣れなくて苦労したが、だんだん慣れてきて新しい喜びに変わった。また地元の市場に買出しに行くのも楽しくて、新鮮で大きな野菜や果物、チーズの種類はトルコならではの豊富さだった。

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ジェイミー、幼児誘拐犯みたいな笑みを浮かべて。

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農場主のジェムとは仕事のやり方をめぐって口論になったこともあったけれど、彼からはとても大切なことを教えてもらった。それは、簡単にニュースを信用することなく自分の頭でも考えてみる、ということだった。ジェイミーと私は日頃からニュースの時事問題について議論するのが好きだったので、この日もインターネットから拾ってきた「国連平和維持軍、2007年のハイチ大震災で200人以上の女性に対し、支援物資の見返りにに性交渉を強要」というニュースについて議論していた。記事には主にスリランカ軍から国連を通して派遣された兵士たちが、支援物資と引き換えに自らの職権を乱用していたと書かれていた。ジェイミーと私は、全くけしからないニュースだとスリランカ人のことを非難し、隣に居たジェムにも意見を聞いてみた。

ジェムは自分が以前トルコ軍で緊急レスキュー隊員として3年間働いていたことを明かした上で、こんなに大勢の女性が被害にあうことはまず有り得ないと思う、と言った。災害の現場では、皆お互いを助けることに必死で自分の性欲について考えられる暇なんてないのだそうだ。もしかしたら1小隊くらいがそういうことを行ったとしても、まず200人という被害は有り得ない。なんでこのニュースを読んだ人がこの内容を信じるのかというと、これがスリランカ軍だったからだ。私たちはスリランカ人のことを知らない。だから彼らならそういう行為を行うんじゃないかと思い込む。イギリス軍やフランス軍だったらそういう風に簡単には信じられなくても、このニュースに疑問を持たない背景には無意識の人種差別がある。おそらく被害にあった実際の人数よりも多くの女性が、賠償金を目当てに被害を訴えている、というのがジェムの意見だった。

私はこれを聞いたときに如何にニュースを鵜呑みにして何でも信じてしまうことが多いか反省した。まさしくそういった態度そのものが人種差別や偏見を高めてしまっているのだと思う。目の前が一段と明るくなったような気がする。

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農場で一番良かったことといえばそこで多くの素晴らしい人たちに出会えたこと。ホステルには毎日どこからともなく「1、2泊だけのつもり」の旅人がやってきては、農場の環境を気に入ってずっと出て行かないのであった。ドイツ、デンマーク、イギリス、カザフスタン、スロバキア、トルコ、アメリカ、イタリア・・・農場のおかげで実に多くの友達を作ることが出来た。皆同じ家に住んで、毎日同じ食卓を囲んだおかげで家族のような意識が芽生えて、毎日仕事中以外のほとんどの時間を一緒に過ごした。

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ボドルム周辺の美しいビーチで泳ぎたいという理由でこの農場を選んだものの、正直いうとこの辺のビーチは本当にだめだった。水は濁っているし、砂浜にはパラソルとホテルが乱立していてとっても泳ぎたいと思える環境じゃなかった。それでも農場で出会った友達のおかげで毎日片時も退屈しなかったし、毎日自由時間にすることといえば市場に行ったり海辺を歩くだけという比較的地味なアクティビティーでも心はとても満たされていた。これが都市のホステルだったらこういう交流は生まれていなかったと思う。この農場での環境にはとっても感謝している。

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週に1回の休みの日には、ジェイミーとフェリーで30分いったところにあるギリシャのコス島を訪れた。ちなみにここは北アフリカや中東からの難民船の終着地となっていて近年ではリゾートとしての人気は落ちているそうだ。誰だってビーチで寝そべって俗世を離れている時に、ゴムボートにぎゅうぎゅう詰めになった難民の姿を見たら夏休み気分に浸れなくなるだろう。それでも私たちが行った時は島中が観光客であふれかえっていた。トルコの海よりきれいなビーチで泳げたことは嬉しかった。

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トゥルグトゥレイスの農場で2週間のボランティアを終えた後は、農場で知り合ったカザフスタン人のカミラに誘われてボドルムにある彼女のアパートに1週間泊めさせてもらった。カミラは30代前半で、以前はアルマティやモスクワでIT専門職の仕事をしていた。仕事に燃え尽きて今はトルコで長期休養中らしい。カミラはとても優しく、私のことを妹のように可愛がってくれた。トルコの後中央アジアに向かう私には、カザフスタンに着いたら困らないようにとカザフスタンテンゲのお札3000円分とアルマティの親友の連絡先を教えてくれた。

ボドルムでは同じく農場で知り合ったイタリア人のステファノを誘って、市内散策したり泳いだりして楽しく過ごした。農場で出会った人たちはみんなとても性格が良い人たちばかりだった。

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私の旅は何もかも順調だった。これから先向かうアンタルヤ海岸の他の町を訪れるのもすごく楽しみにしていた。その後振りかかかる災難のことなんて想像もしていなかった。

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