スイス~キャンピングカーの旅3~

6日目は次の目的地のサンモリッツに行くために一度国境を越えてイタリアに入った。夕方休憩に訪れたキアヴェンナというイタリアの小さな町がとても良い雰囲気だったので、その晩はサンモリッツまで行かずそこに泊まることにした。

キアヴェンナ
キアヴェンナ

ロマンは連日の運転による疲労が重なっていたので、私が提案しその晩は初めて宿に泊まることにした。スイスではキャンピングサイトに泊まるだけでも毎回6千円くらい払っていたので、宿と言ってもそれより安くイタリアの物価に感謝した。夜は食べ収めになるであろうイタリア料理を食べて、久しぶりのベッドでぐっすり寝た。シャワーもキャンピング場ではコイン式で5分しかお湯が出なかったので、ようやく納得行くまで髪の毛を洗うことができた。

7日目はイタリアを離れてまたスイスに戻った。スイスでは税金の関係でイタリアよりもガソリンが安いので、国境の町ではイタリアナンバーの車が何台もガソリンを入れに来ていた。またひとつ峠を越えて、午後にサンモリッツに着いた。

サンモリッツに続く峠
サンモリッツに続く峠の道

サンモリッツはスイス屈指の高級スキーリゾートで、街中ブランド品店がいくつも並んでいた。どんな見所があるのだろうと期待して行ったが、高級品店以外には何もない町だった。私たちはここで1泊する予定でいたが、がっかりして次の町に行くことにした。

うすっぺらなサンモリッツの街
うすっぺらなサンモリッツの街

丘の上に車を停めて、サンモリッツのスーパーで買った野菜やハムを即席のサラダにして食べた。トランクの後ろを開けてパノラマの世界を眺めると、また一つ自分だけの特別な景色が増えた気がした。

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トランクの後ろからの眺め
昼ごはん
昼ごはん
珍しいロマンシュ語の看板
珍しいロマンシュ語の看板

日が落ちる前にアルブラ峠という峠を越えた。私たちの行く手を阻むように山の頂上から雲が降りてきて、風がごおごおと吹きロードオブザリングの世界のようだった。

 

アルビュラ峠、ロード・オブ・ザ・リングの世界
アルブラ峠

ロマンの話によるとここはグラウビュンデンという県でスイスで一番荒い自然が残っているところだった。1時間くらい走ると小さな忘れ去られたような古い集落があり、中世から変わっていなさそうな村の景色に感動した。夜がどっぶりふけたあとようやく町に着き、夕食を食べた後歓楽街の駐車場で寝た。こうやって駐車場で寝るのも最後かと思うと悲しかった。朝は珍しく早起きして温泉に行った。箱根のユネッサンみたいな大きくて綺麗な温泉で水着を着て入った。お湯はとてもぬるかったが大きなプールで泳いだり、サウナに入ったりして久しぶりにしっかりと汗を流すことが出来た。

温泉から出るとアルプスの少女ハイジ村という小さなテーマパークに行った。ハイジ村はアニメとは関係なくてあくまでも原作の本をテーマとした村だったが、客はアニメのファンと思われるアジア系が多かった。また中東系の人もいてきっとハイジのアニメは中東諸国でも人気を博していたのだろうなと想像した。遊具などはなく、ハイジの住んだ家や歩いた道などが復元されているだけでポストカードの写真を見て入場は取りやめることにした。

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ハイジ村の入り口
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展示物はまさかのぬいぐるみ
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味わいのあるお土産、ヨーゼフに注目

それからまた車に乗りリヒテンシュタイン国へ行った。リヒテンシュタインは世界で6番目に小さな国で、外交や通貨は全てスイスに委任していた。町の中心部には日本人経営と見られるお寿司屋さんがあったが、とても手が届かないような値段だった。お金持ちが多いようでポルシェがあちこち走っていた。

その後オーストリアを経由してスイス東部のアッペンツェル地方へ向かった。アッぺンツェル地方には小さな丘が数え切れないほどあって美しい田園風景が広がっていた。それまでの雄大な自然とは少し違う、こじんまりとしたおとぎ話に出てくるような特別な魅力がある地方だった。

アッペンツェル
アッペンツェル
小人や妖精が住んでいそう
小人や妖精が住んでいそう
みつばち
みつばち
収穫の秋
収穫の秋

中心部には小人の家のように可愛らしい家が並び、橋も道もミニサイズで自分がガリバーになったような気分になる不思議な町だった。

おもちゃやさん
おもちゃやさん

私たちは夕飯を食べたあとキャンプ場へ向かった。キャンプ場は丘の上にあってアペンツェルの景色を見渡すことができた。夜は遅くまで二人で話し込んでいたらいつのまにか夜が明けていた。キャンプ場から朝日を見たときに私のスイスの旅が終わったことを悟った。

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夢から覚めるときがきた

 

何という濃い時間を過ごしただろうか。ロマンには毎日言葉では表せないほど美しい場所にたくさん連れて行ってもらって、四六時中一緒にいるのに喧嘩のひとつもしなかった。本当にしあわせすぎて、これから自分がまた一人旅に戻るのだと思うと胸がちぎれそうな気持ちになった。スイスは小さな国なのに、自然の多様さや雄大さを目の当たりにするととてつもなく大きな国のように感じた。どこへ行っても美しくて、ため息しか出てこなかった。もしこれから彼ともう会わなくなってもこの旅のことは一生忘れないだろうし、私の人生の中で最高の思い出のひとつであり続けるだろうと思った。

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帰りの車窓から

 

さよならスイス
ありがとう、スイス

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